代作と夏休み

宿題RTA

 当ブログは、自閉スペクトラム症の当事者である僕が、いつも見ている世界をできるだけ詳細に言葉にすることで、皆さんに他者の価値観を鑑賞していただく試みです。

クリハロ

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この記事は、Amebaブログのリメイクです。

 子どもたちは夏休みを満喫しているかな?

 大人になると一ヶ月なんてあっという間に過ぎてしまうものだけど、子どもの頃の夏休みは、まるで永遠の空白のようで、煌めく些細な非日常に胸を躍らしていた記憶があるもんだよね。
 それから、今は思い出したくないって人には申し訳ないけれど、夏休みと言えば、宿題もある。
 大量のタスクを自分で長期的な計画をしてやり遂げるというのは、子どもに課すにしてはハードなものだと感じるんだけど、取り組むにあたり、大体2パターンの人がいると思う。

・7月中にさっさと終わらせてしまう人
・新学期になるギリギリまで先送りにする人

 毎日少しずつ習慣的に勉強することを想定して作られているんだろうけど、誰だって宿題のことを考えている時間なんて最小化したいもんだもんね。自分なりの方針を考えて取り組むなら、どちらも悪くないと思うよ。
 ちなみに僕は、しなくてはならないことがあるのが嫌いだから、どんな宿題でも最速で終わらせたいと思っていたもんで、7月中どころか、夏休みが始まる前に終わらせたこともあったんだ。

 今日はそんな中学生の頃の出来事を思い出して書いてみたい。

 蝉もいよいよ鳴き始め、梅雨明けを実感する昇降口前。フラフラと走って顔を赤くしている陸上部やサッカー部には一瞥もやらず、僕は独り、戦いを始める決意を固めていた。
 小学生の頃は、最終日に配られるプリントに書かなくてはいけない俳句やら、天気の記録なんていう宿題が多く、先んじて手を打つことはどうしてもできなかったから、未来の日記なるものを書いてしまうにしても、宿題を終わらせるのに3日はかかった。

 けれど、中学生の宿題の内容は、予めほとんどが予想できるものであったから、毎年のタイムアタックの記録に初めて「マイナスの記録」を樹立できるのではなかろうかと、冷房を掛けるか悩んで眠りにくかった昨晩、ふと思いついたんだ。
 陽炎の立つ金曜日の下校道、ワイシャツの襟に汗染みができるんじゃないかと気にしながら、マイナス記録への作戦を振り返っていた。

 まず、4月に配られた「ワーク」と呼ばれる問題集。これは各教科にあって、夏休みの宿題のなかでは“勉強”らしい部分を大きく担う。けれども僕は、配られてすぐにその全部を解き切って、前期の中間テストの前には、提出のときだけ取り出すスタンプカードと化していたから気にしなくて良い。
 次に、音楽と美術。これに関しては、まだ夏休みまでは、数週間猶予があるにも関わらず、幸運なことに教員から予告があった。
 クラシック音楽を鑑賞して感じた情景を、色鉛筆で小さな絵にするという音楽の課題。加えて、絵の具で環境保護ポスターなるものを描くという美術の課題。どちらも絵を描くだけだから、休憩中にでもやってしまおう。ただ注意として、環境保護ポスターの方は、市のコンクールになっているはずだから、紙の大きさだとかに指定があるだろう。詳細の告知より前にやるなら、直接ホームページ等で確認しておかなくてはならない。こういうところで抜かると痛い目を見るんだ。

 また、理科の自由研究は、自主的に冬でも春でもやっていて、レポートまで仕上げたものも多くあるし、社会科の新聞制作も、何をするかは分かっているから、すぐに終わる。1ページ学習とかいう「毎日ノート1枚分勉強をする」という果てしなく面倒なやつも、趣味の数学の勉強に使ったノートが一冊分以上余っているから、それを出してしまおう。
 あと一応、技術・家庭科や体育にも「お手伝いをしましょう」とか「健康に気をつけて過ごしましょう」なんていう宿題が出るだろうが、まぁ……無視しよう。

 やはり、マイナス記録樹立に際して難関となるのは「数学と英語のプリント」と「国語の作文」の宿題だ。プリントは、そこまで量は多くなく5時間くらいで終わるものだけれど、授業が一区切りついた、およそ夏休みの4,5日前くらいにならないと渡されないから、それまではどうしようもない。
 そして、国語の作文の方は、読書感想文が確定であるものの、もう一つ何かのコンクールに応募するための、テーマ付きの作文を書かされる。そして、そのテーマがなんと毎年違うらしい。生活文や随筆文、税に関する作文、人権に関する作文などなど、様々なコンクールがあって、学校でどれに応募するかは不明なんだ。さりとて、用紙はどこにでも売っている普通の原稿用紙。もの自体がない数学と英語に比べるとまだ取り組める宿題である。
 僕は家に帰るとすぐに、自分の市の中学生が応募できる作文のコンクールを調べに調べた。その結果、読書感想文と合わせて計8編の散文、詩などの韻文2編を書いておけば、大抵の宿題に対応できることが分かった。

そう…。全部書けば…。

 約18000字。中学生の僕には幾分険しい道のりであったが、目が乾いて痛くなってくるほどの集中力を発揮して、2日後の日曜日には、すべて書き上げたのだった。もちろん、出来栄えにはあまり納得できなかったけれど、どんな敵が来ようとも迎え撃てる城塞が築き上げられたことには、生ぬるくも芳しい優越感がある。何より、次の日から数学と英語のプリントが配られるのを待って、放課後に絵を描いたり、新聞を書いたりするだけの怠惰な生活を送るだけで、記念すべきマイナス記録まで容易に手が届くという事実に誇らしくなったのだ。
 実際に、この年は数学と英語のプリントも配られるや否や終わらせて、夏休みの宿題タイムアタックは「マイナス3日」の記録を打ち立てた。

 しかし、そうして宿題のない夏休みを優雅に送れたかというと、実はそんなこともなく、記録のために大量に書いた作文が、思わぬ悲劇を生むことになるのだった…。


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