煌めきと生
当ブログは、自閉スペクトラム症の当事者である僕が、いつも見ている世界をできるだけ詳細に言葉にすることで、皆さんに他者の価値観を鑑賞していただく試みです。
この記事は、Amebaブログのリメイクです。
一人暮らししている人ってすごいよね。
僕は母子家庭で母親と二人暮らしだったのに、そのくせほとんど手伝いなんてしなかったとんでもない人間なんだけど、友人にはしっかりと家事をしながら生活できる人もいて、羨望の眼差しで見ているよ。
衣食住に興味がなさそうに生きているけれど、何でもいいってわけじゃなくて、それなりにこだわって生きているクリハロくんだから、ゼロから暮らしを構築するのは、大変そうだよね。お母さんやその友人さんもよくこんなクリハロくんに好意を持ってくれるもんだよ。
「人」という字は人と人とが支え合ってできているのです
なんて金八は言うけれど、それだと二画目の人が支えているだけでは?という風に昔から思っていた。そして、僕は他者に凭れて、いつも支えてもらいながら生きている一画目の方だなとも思う…。
ただ、実のところ「人」という字は、一画目が頭から腕、二画目が脇から足までを表していて、一人の人間が立っている姿だ。自立というものは、人間が人間らしく生きていく中で、とても重要なことなのかもしれない。
そうは思っていても、生きていくための活動を人に任せっきりで、いつだって僕は芸術や学問に耽ってばかりいる。自分の生活を省みることなく、むしろそんな文化的な活動こそが大切なのだと自信満々に言ってばかり。何百年かかるかわからないような人工知能や物流の大規模なパラダイムシフトの到来を切に願っている。
思うに僕は夢想家であって、物事を「できること・できないこと」で分割するのではなく、「やりたいこと・やりたくないこと」で分けてしまっているんだ。
やらなくてはいけないこともあるのに、できるかどうか考えるより先に、やりたいかどうかで判断してしまう。最終的に得られるメリットなんかより、その行為全体の体験に煌めきがあるかどうかを重要視してしまうんだ。
さっき挙げた生活能力の高い友人からは、「趣味が色々あって楽しそう」だとか「頭が良くてすごい」だとか、憧れると言われることもあるけれど、僕としてはこれまで努力してきた部分が違うだけだと思う。僕は「やりたいこと」を見つける能力にスキルを全振りして生きてきたけれど、一人暮らしをしたら、すぐに死んでしまうような危うさの中にいるし、友人の方がずっと安定してたくさんの「できること」があると思う。僕は僕の人生が楽しいと思ってはいる。でも、大人になるにつれ、それだけでは生きていけないことも痛感させられているから、この未来を楽しもうと考える期待のプラスと、未来でちゃんと生きていられるかという不安のマイナスの足し算をしたら、結局あまり変わらなそうだ。
憧れる相手に憧れられて、ないものねだりは尽きないね。
人間、一人では生きていけない。持ちつ持たれつ協力しながら暮らしたいけれど、人の役にまるで立たないこんな僕は、どうしたらいいか。悩ましく思うこともあるんだ。障害もあって家族にも行政にもお世話になって生活しているのに、夢想ばかりしていて良いのか。「楽しそう」の正体は、一秒もやりたくないことをしたくないという、わがままの極みでしかなくて、困ったものだね。
でも、自分の悪い部分を言うのは簡単だから、良い部分も挙げてみようかな。
最初に思いつくのは、この夢想力によって不幸を幸福に変える力があること。未来では自分がどんな風になっているかなんてわからない。着実に努力することも大事だけど、そんな努力の成果を台無しにするような不慮の事故に遭うことだってある。目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったり、手足が動かせなくなったり、色々な障壁が現れるかもしれない。それでも僕は、与えられた環境を楽しめると自信をもって言えるよ。これは確実に僕の良いところだし、友人にもぜひ感じてほしい部分でもあるんだ。
脳の構造と宇宙の構造は似ているなんて言われることがある。宇宙なんて大抵の場所が暗闇でスカスカなものだけど、広大な視野で見渡したときにだけ銀河団のつながりがニューロンみたいに見えてくるんだよね。僕ら人間は思考の中に宇宙を飼っていて、星々の煌めきを目印に幸せを感じることができる。
「できること・できないこと」に分けて考えて、できることを確実に増やしながら、自立していくということの大切さは身に沁みたけれど、やっぱりそれだけでもダメだ。障害だとか環境だとかどんなに努力しても「できないこと」が現れたときに、深く悲しむことになってしまう。別に悲しむことそのものが不必要だと言っているわけじゃないけれど、僕は身勝手に君にも幸せになってほしいと思ってしまうんだ。
また、夢想家くんの癖が出ているよ。
今日の夕ご飯はどうするの?
今日は外食することにしようか。僕が予約しておいたんだよ。








