完全数
当ブログは、自閉スペクトラム症の当事者である僕が、いつも見ている世界をできるだけ詳細に言葉にすることで、皆さんに他者の価値観を鑑賞していただく試みです。
この記事は、Amebaブログのリメイクです。
本日、6月28日は完全数の日!
自分自身を除いた正の約数の総和が、自分自身と等しい自然数
6 = 1+2+3
28 = 1+2+4+7+14
と、このように書き表せる、6や28は完全数だ。
昔の人は、神が天地を創造した6日間や、月の公転周期が28日間であることなども鑑みて、この性質を「完全」だと神秘的に感じられたのかもね。
完全数というのはかなり珍しくて
6, 28, 496, 8128, 33550336, …
と、現在のところ、52個しか見つかっていないんだ。
直近、2024年11月に新しく見つかった完全数に至っては、8204万8640桁という想像もできないほど大きな数。それだけ大きな数まで見渡していても、52個しか見つかっていないと考えると、相当レアだと感じられるよね。
これは余談だけど、日本プロ野球で完全試合が初めて行われたのも、奇跡的に1950年6月28日なんだよ。それから、「パーフェクト」を意味する「パフェの日」も6月28日なんだ。だけど、これを制定したパフェの愛好家とパフェを扱う洋菓子業界によると、完全数の日だからではなくて、初めて完全試合が行われた日だからと説明されていた…。
みんな、数学よりは野球の方が好きなのかもしれないね。
…数学だって、とっても面白いのに!!
今日はみんなが、カレンダーを見るだけで微笑むことができるくらい、数学のことも楽しんでもらおうと思って、この「完全数」について基礎的なことをお話ししていくよ。整数は僕の幼少期からの大親友!みんなも仲良くなれるといいね。
約数関数を使いたい
まず、完全数の定義にもある「約数の総和」というものを計算できるように、約数関数というものを定義しておこう。
自然数Nのすべての正の約数をk乗して足し合わせた数をσₖ(N)とする。
k=0, 1のときは特別に、
σ0(n)はNの約数の個数を表し d(N)
σ1(n)はNの約数の総和を表し σ(N)
と、表すことにする。
0乗するとどんな自然数でも1になるから、約数の個数分を足し合わせたことになるし、1乗しても数は変わらないから、ただそのまま足し合わせていることになって、約数の総和そのものになるね。
ここからは、ただ総和を取る σ(N) の話ばかりだから、累乗することは忘れてしまっても大丈夫。でも、個数も総和も変数を変えるだけで表現できるってなかなか面白い定義だよね。
約数関数を使って、完全数の定義を表してみると…
「自然数Nが完全数である」とは、σ(N) = 2N であることだと言えるね。
また、そもそも約数の総和ってどうやって計算するかというと…
自然数Nの素因数分解が p₁ᵏ¹p₂ᵏ²…pₙᵏⁿ と表されるとすると、
σ(N)=(1+p₁+p₁²+…+p₁ᵏ¹)(1+p₂+p₂²+…+p₂ᵏ²)…(1+pₙ+pₙ²+…+pₙᵏⁿ)
こんな風に表せる。この式を展開すれば全パターンの約数が出てくるって考えると、正しいことが確認できるよ。
そして、この式を見ていると、自然数aとbが互いに素であるとき、
σ(ab) = σ(a)σ(b)
が成り立つとわかるね。約数の総和の公式を使おうとしても、aの素因数とbの素因数が被らないんだから、そのまま掛け算できる。
また、素数pの約数は、p自身と1に限られるから、
σ(p) = p+1
なんて言うのもとても簡単に言えるね。
下準備はこんなもんにして、いよいよ完全数を見つける話をしていこう。
メルセンヌ素数とは
完全数と関わりの深いメルセンヌ素数について紹介しよう。
2の冪よりも1小さい自然数
\rm{M}_n=2^n-1
特に、素数であるメルセンヌ数を、メルセンヌ素数という。
ちなみに、
2^{ab}-1=(2^a-1)(1+2^a+2^{2a}+\cdots+2^{(b-1)a})
という式変形ができるから、Mₙ が素数ならば、nも素数であると言えるよ。
\rm{M}_{11}=2047=23\times 89 なんてものもあるから、
nが素数であっても、Mₙ が素数であるとは言えないね。
そして、このメルセンヌ素数を使うと、完全数を作ることができる。
次の式は今回の記事で最も重要だよ。
Mₙ = 2ⁿ-1 が素数であるとき
2^{n-1}(2^n-1)
は、完全数である。
N= 2ⁿ⁻¹(2ⁿ-1) として、2ⁿ-1 を素数とすると、
2ⁿ⁻¹と(2ⁿ-1)は互いに素なので
σ(N) = σ(2ⁿ⁻¹)σ(2ⁿ-1)
ここで、約数の総和の公式より
σ(2ⁿ⁻¹) = (1+2+2²+ … +2ⁿ⁻¹) = 2ⁿ-1
∵ 等比数列の総和の公式
S = 1+2+2²+ … +2ⁿ⁻¹ と置くと
2S = 2(1+2+2²+ … +2ⁿ⁻¹) = 2+2²+ … +2ⁿ⁻¹+2ⁿ
2S-S を計算すると、
(2+2²+ … +2ⁿ⁻¹+2ⁿ)-(1+2+2²+ … +2ⁿ⁻¹) = 2ⁿ-1
なので、S = 2ⁿ-1 とわかる。
また、2ⁿ-1 は素数だから
σ(2ⁿ-1) = 1+2ⁿ-1 = 2ⁿ
よって
σ(N) = σ(2ⁿ⁻¹)σ(2ⁿ-1) = (2ⁿ-1)2ⁿ
そして、
2N = 2(2ⁿ⁻¹(2ⁿ-1)) = 2ⁿ(2ⁿ-1)
したがって、σ(N) = 2N がいえて、Nは完全数である。
n=2のとき、
2²-1=3 で素数。2¹(2²-1)=6
n=3のとき、
2³-1=7 で素数。2²(2³-1)=28
という感じで、ちゃんと完全数になってるね。
これで、どんどん完全数が見つかるわけだ!でも、注意として「この形ならば完全数だ」とは示したけれど「完全数ならばこの形だ」ということは言えないから気をつけてね。特に、この形だと明らかに2の倍数になっているから、奇数の完全数は取りこぼしてしまうよね。
だけど、実は今のところ見つかっている完全数はすべてこの形で表されている。奇数の完全数が存在するかどうかは、未解決問題として知られているんだ。
問題の意味はわかるくらい簡単なのに未解決である問題も結構あるもんなんだよね。
でもさ、奇数の完全数が見つかっていないにしても、発見されている完全数がすべて「2ⁿ⁻¹(2ⁿ-1)」の形をしているというのは、ちょっと不思議だな。偶数の完全数でこの形以外のものってないの?
そうなんだ。偶数の完全数は必ず「2ⁿ⁻¹(2ⁿ-1)」の形であることが知られている。次はその証明をしてみよう。
偶数の完全数の証明
先に示したいことを確認しておくよ。
証明すること仮定:自然数Nが完全数(σ(N) = 2N)である。
結論:ある自然数nを用いて、N = 2ⁿ⁻¹(2ⁿ-1) (2ⁿ-1は素数)と表せる。
証明
はじめに、Nをできるだけ2で割るという作業をしておこう。
ここでは、ある自然数nを用いて、Nが最大 n-1 回割れるとするよ。
N = 2ⁿ⁻¹A(Aは奇数)… ①
そして、2ⁿ⁻¹ は、素因数を2しか持たず、Aは奇数(2を素因数に持たない)なのだから、2ⁿ⁻¹ とAは互いに素だよね。だからさっきと同様に、等比数列の総和の公式によって σ(2ⁿ⁻¹) = 2ⁿ-1 であることを用いると次が言える。
σ(N) = σ(2ⁿ⁻¹)σ(A) = (2ⁿ-1)σ(A) …②
ここで仮定と①より、σ(N) = 2N = 2ⁿA だから
2ⁿA = (2ⁿ-1)σ(A) …③
次に、③の両辺の素因数2の数を見比べよう。
Aと(2ⁿ-1)は奇数であるから、σ(A) は 2ⁿ で割り切れる必要があるね。
そこで、ある奇数aを用いて、σ(A) = 2ⁿa とおいて、③の両辺を 2ⁿ で割ると
A = (2ⁿ-1)a …④
ここで、a≠ 1 と仮定してみるよ。
Aの約数を考えると、少なくとも1とaと (2ⁿ-1)a を持つため
2ⁿa = σ(A) ≧ 1+a+(2ⁿ-1)a = 2ⁿa+1
となり、矛盾する。
よって、a = 1 が言える。
つまり、σ(A) = 2ⁿ, A = 2ⁿ-1 …⑤ であり、
σ(A) = A+1(Aは自分自身と1しか約数を持たない)と言えて、Aは素数。
したがって、①⑤より、N = 2ⁿ⁻¹(2ⁿ-1) (2ⁿ-1は素数)と導かれたね。
ここまで示してきたことが全部使われて気持ちがいいね!
完全数にまつわる数
完全数の性質は面白かったかな?
約数に関する性質ってあまり学校で学ぶようなものではないけれど、数学的な探究として、面白いものは多いから、最後にいろいろな発展を紹介するね。
倍積完全数
正の約数の総和が、自分自身の倍数になる自然数。
σ(N) = kN (kは自然数)
特に、k倍に等しいものを、k倍完全数という。
1は唯一の1倍完全数。完全数は2倍完全数だね。
3倍完全数には例えば、120がある。
120=2³×3×5 だから、
σ(120)=(1+2+2²+2³)(1+3)(1+5)=360
となって、360=120×3 だね。
(n,k)-完全数
n回約数関数に入れた値が自分自身のk倍になる自然数。
σⁿ(N) = kN(n,kは自然数)
完全数は(1,2)-完全数、倍積完全数は(1,k)-完全数。
特に、σ(σ(N)) = 2N となる、(2,2)-完全数を超完全数という。
そして、偶数の超完全数は、2ⁿ-1 がメルセンヌ素数であるような、2ⁿ⁻¹ に限られることが知られているよ。(2, 4, 16, 64, 4096,…)
他には例えば、(2,3)-完全数として21がある。
σ(σ(21)) = σ(32) = 63 = 21×3
擬似完全数
まず、自分自身を除いた約数の総和が自分自身を超えるものを過剰数
自分自身を除いた約数の総和が自分自身に満たないものを不足数というんだ。
擬似完全数とは、過剰数のうち上手く約数を選んで足し合わせることで、自分自身にすることができる自然数のことだよ。
例えば、30(約数は1, 2, 3, 5, 6, 10, 15, 30)は、
5+10+15を選ぶことで、30にできるから、擬似完全数だね。
逆に、過剰数でありながら、擬似完全数でない数は不思議数と言うんだ。
例えば、70(約数は1, 2, 5, 7, 10, 14, 35, 70)は、
1+2+5+7+10+14+35 = 74 だから、過剰数ではあるんだけど、4だけ減らすような選び方はないとわかるから、不思議数だよ。
友愛数
σ(A)-A = B , σ(B)-B = A を満たすような、自然数の組(A,B)。
(自分自身を除く約数の総和が互いに他方と等しくなる自然数の組)
ちょっと書き方を変えると σ(A) = σ(B) = A+B とも言えるね。
例えば、(220, 284)が知られているよ。
σ(220)-220 = 284 , σ(284)-284 = 220
となっていることは、各自確認してみてね。
ちょっと発展させると、多重友愛数という、σ(A)=σ(B)=σ(C)= … = A+B+C+… のような関係を満たす組も考えられているんだ。3重友愛数としては、(1980, 2016, 2556)なんていう組があると知られているよ。
また、友愛数似たものとして婚約数(準友愛数)というのもある。
σ(A)-A-1 = B , σ(B)-B-1 = A を満たすような、自然数の組(A,B)。
(自分自身と1を除く約数の総和が互いに他方と等しくなる自然数の組)
婚約数は、(48, 75)のペアが有名だよ。
婚約指輪の刻印には、お互いに48と75を入れよう!
社交数
友愛数の拡張として、社交数というのもある。
Aの自分自身を除いた約数の総和が、Bになって、
Bの自分自身を除いた約数の総和が、Cになって、
Cの自分自身を除いた約数の総和が、Dになって、…
と繰り返した先で、Aに戻ってくるような自然数の組のこと。
3つ組の社交数が一番簡単に思えるけれど、実は3つ組は未発見なんだ。
4つ組の最小の社交数は、(1264460, 1547860, 1727636, 1305184) だよ。
ちなみに、現在見つかっている最長の社交数の組は28つ組で
(14316, 19116, 31704, 47616, 83328, 177792, 295488, 629072, 589786, 294896, 358336, 418904, 366556, 274924, 275444, 243760, 376736, 381028, 285778, 152990, 122410, 97946, 48976, 45946, 22976, 22744, 19916, 17716)
という感じ…。見ているだけで、ちょっと興奮するね…!
こんなにたくさんの計算をするなんて、もうコンピュータにしかできない芸当だね。しかし、「約数の総和」を考えることだけで、ここまで多くのアプローチで整数を探求しようとしてきた歴史があるなんて本当に驚かされるね。
少しは整数たちのことを、面白そうだなって思えたかな?
みんなも、日常のなかで目についた数字は色々な方法で遊び尽くしてみよう!未解決問題の解決というような偉業も、そんな一歩からスタートするんだよ。








