みんなも「教える」をしてみたい?

みんな教師になろう

 当ブログは、自閉スペクトラム症の当事者である僕が、いつも見ている世界をできるだけ詳細に言葉にすることで、皆さんに他者の価値観を鑑賞していただく試みです。

クリハロ

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この記事は、Amebaブログのリメイクです。

 授業のやり方を知ることは教育者でなくとも役に立つんだ。

 みんなが受けてきた学校の授業と普段のコミュニケーションは、全く違うものだと感じるかもしれない。けれど「教える」というスキルは授業準備だけに効果を発揮するものではなく、誰しもに必要なものだと僕は感じているよ。

自分の知識を丁寧に伝えたい
相手に気持ちよくやってほしい
相手のパフォーマンスを高めたい

 いろんな場面で教授的スキルを必要とされることがあるんだよ。今回は、教育者ではない人にも共通して必要となる基礎的な「授業の設計方法」をお話しするから、自信と根拠を持ってインストラクションができるようになることを目標に読んでね。
※この記事では「授業」という言葉を使うけれど、学校の授業だけを想像せず、自分がしたい教える場面を想像して取り入れてみてね。

手法の前に気構えを

教育の目的

教育は、人格の完成を目指し、平和で⺠主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国⺠の育成を期して行われなければならない。

 教育を学んでいると、散々目にするこの一文。個人的には一人ひとりの幸せや自由よりも「国」の歯車としての機能を期待して、打算的に教育を行おうとするような意図を感じられて、あまり好きなものではないんだけども「社会の形成者」という語句は注目すべきだと思う。
 言われたことを、ひたすらこなすだけのロボットを育てることを目的とするのではなく、自ら考え、自ら社会を作り出していけるような、主体的な態度を育むことが肝要だということだね。

​新しい事実をただただ効率的に伝えられて、テストでいい点をとるためだけに作業的に学んでいたことより、大好きな趣味のために自分で調べて実践してしようと考えてきたことの方が、ずっと後まで覚えていられるような気がするよね。

 そうだ、ここで「アクティブラーニング」という言葉を導入しよう。

 これは、指導者からの一方的な講義形式の授業ではなく、学習者が能動的に考えることを誘発するように、作文、討論、具体的な問題解決などの活動を通して、高次な思考課題を行う学習のことを言うよ。アクティブラーニングを効果的に実践することで、その価値や意味を見出さずに事実を暗記するような“浅い学び”ではなく、趣味のことを調べているときのように、既有の知識や経験に関連づけて有用性を実感できる“深い学び”に繋がるんだ。

 それから、概ね傾向はあるといえど、学習に必要な時間も、学習するのに適した方法も一人ひとりがそれぞれ違う。
 具体的な授業設計を考えるよりも先に、誰かを教えるなら“気構え”として「学習者が主体的に深い学びを得られるよう、その人の立場に立って考えるようにしよう」って、思えるようにしておくことが、第0ステップだよ。

​確かに教師の方が勝手に「この手順をうまく実施したから完璧に教えられた」と、いくら実感していたところで、学習者が「わからなかった」「楽しくなかった」という感想を抱いているなら明らかに失敗と言えるもんね。

 講義形式で、自分が知っていることを短い時間でいっぱい教えることができると、達成感はあるかもしれないけれど、学習者目線ではドカドカ知らないことを聞かされて、ほとんど分からなかったという体験になるよね。
 それに、アクティブラーニングを取り入れたとしても「とりあえず班にして話し合わせとけば現代的な学び方なんでしょ」なんてやっていても、「活動あって学びなし」という状況になる。
 大事なのは明確な目標と、その評価の方法の設定。それを踏まえて、その目標が達成されそうな授業方法を考えることだよ。

メイガーの三つの質問Where am I going ?
私はどこに行くのか(目標)
How do I know when I get there ?
そこについたとどうやって知るのか(評価)
How do I get there ?
どうやってそこに行くのか(授業方法)

 自分の授業にこれらを質問してみて、しっかり明確に答えられるかどうか、必ずチェックしよう。

目標と評価のあり方

 とは言っても、自分の目標や評価の設定の仕方が有用なものなのかどうか、はじめは判断できるはずもないから、そのあり方を見ることから始めよう。

 そもそも、学力(会社や家庭では別の言葉の方がいいね)って、なんだと思う?

​そんなのテストができるかどうかじゃないの?

 テストができるかどうかは、どれだけ学べたかということしか測れない。ただの丸暗記で明日には全部忘れちゃうような状態でも、学力があると言えるかな?

 そんな問題を解消するために、

  • 学んだ力
  • 学ぶ力
  • 学ぼうとする力

 これらの力を合わせて「学力」と呼ぶことがあるよ。学ぶ力や学ぼうとする力を育むことで、授業をした時間や教えた内容を越えて学ぶことができるようになるから、むしろ単純に形式的な内容ができることより重要視するべきかもしれないね。
 だから、目標とする項目も「知識がつけられること」だけに絞るのではなく、それぞれの力をしっかりと評価できるように、3観点以上用意するようにしよう。

 文部科学省で挙げている具体的な評価規準としては、「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」、「主体的に学習に取り組む態度」があるよ。

​態度の評価って、テストの点数と違って明確に良し悪しを判断する方法がないから、ちょっと難しそうだな。

 確かに態度の評価は難しいね。

 しかも、評価の基準は「〜を理解する」みたいな不明確なものではなく「確認テストを前回のノートを見ながら、5分以内に8割正解することができる」のように具体的な行動を指定して、明確に書くのが大事だとされる。そうじゃないと、適切に学習者を評価して次の学習に繋げることができなくなるからね。

 そう思うとますます難しいけれど、僕としては態度の評価を明確にするためにも、アクティブラーニングの活動が使えると思うんだ。例えば「議論において、自分の意見を3回提示できる」だとか「作文の課題のなかで、学んだことを活用して自分なりに発見した事例を挙げている」のような評価基準を設けることで、態度に関わる「学ぼうとする力」を評価できるよね。

 さて、評価の種類を増やす必要は分かったけれど、適切な評価基準を設けるために、学習の深さを捉えておくのも大切だよ。学習の深度には6つのレベルがあるとされている。それも紹介しよう。

  1. 記憶(何を覚えたか、いくつ覚えたか)
  2. 理解(説明できるか、言い換えられるか)
  3. 応用(他の活動で使えるか)
  4. 分析(体系的に別の事象と統合して捉えられるか)
  5. 評価(批判的に考えられるか)
  6. 創造(新しいものを自ら生み出せるか)

 こうしたレベルがあるということを踏まえて、自分のする授業ではどこのレベルまで行きたいのか意識しよう。小学一年生に微積分を教えるみたいな高すぎる目標も、高校生に九九を教えるみたいな低すぎる目標も意味がないよね。前提知識とその授業が果たすべき説明責任を踏まえて、効果的で明確な目標設定と、その評価の具体的な方法を、予め決めるようにしておこう。目標と評価は一体化させることが大切だよ。
 実際にあなたの仕事や知っていることなんかを、後輩や子どもなどに教えるって想像してみて欲しい。そのときの目標設定と観点別の評価の方法はどのように設定するべきだろうか。自分事として考えてみると、わかりやすくならないかな?

ガニェの9教授事象

 最後に、具体的な授業方法を考えよう。

 目標に合わせて何を学ぶかを決めて、それを評価する方法も決めたなら、あとはそれを限られた時間の中で、どのような順番で、どこにどれだけ比重を置いて行うかを決めるだけだね。
 モデルとして、新しい知識やスキルを習得するときの脳のメカニズム合わせて、学習しやすい外的な働きかけを、9つのプロセスに整理した「ガニェの9教授事象」と言われるものが有名だから、それを紹介するね。

ガニェの9教授事象

フェーズ1 導入
 1.学習者の注意を喚起する
 2.学習目標を知らせる
 3.前提条件を確認する

フェーズ2 展開
 4.新たな事項を提示する
 5.学習の指針を与える
 6.練習の機会を設ける
 7.フィードバックをする

フェーズ3 まとめ
 8.学習の成果を評価する
 9.学習の保持と転移を促す

 4の「新たな事項の提示」は、みんなやると思うけれど、その周りのこともとても重要なんだよ。4ばかりやって、意味や価値もわからずただただ暗記させられる授業は定着しないから、ここに固執してしまうことなく、全体を通して意義深い体験を作り上げていこうね。

フェーズ1 導入

 まずは導入。ここでは、新たな知識を長期記憶として定着させる準備のために、既習事項との関連付けをしたり、学ぶためのウォーミングアップをするよ。今回の目標の提示や前回の復習などはもちろん、学習内容に関連のあるトピックを取り上げたり、問題提起のためのクイズなんかをするといいかもしれないね。

​導入が魅力的だと、その授業を聞きたいって、学びに向かう意欲が高まるね。

フェーズ2 展開

 次に展開。ここで今回教えたいことをインプットさせるんだけど、重要なのは単なるインプットの4と5だけじゃなく、学習者にアウトプットの道筋を作らせるための練習として6があること。そして、総括的に結果だけを評価するのではなく、学習の過程で形成的に評価を与えるためにフィードバックの7をすることも大事だよ。

 例えば、数学の授業で「定理の紹介をして(4)、その覚え方を教えて(5)、練習問題を解かせて(6)、机間指導で一人ひとりの解き方をチェックする(7)」みたいな流れを考えると分かりやすいんじゃないかな。
 この4から7は、一回の授業で何回か繰り返してもいいし、アクティブラーニングの活動を取り入れると、6の「練習」のやり方を工夫できるね。展開は授業の大部分であって、工夫の余地もたくさんあるから、しっかり教師中心でなく学習者中心の設計になっているかという意識を持って丁寧に作ってみてね。

​アウトプットの機会がしっかりあると、楽しく学ぶことができるし、どんな応用が効くのかとかも、身をもって感じられるよね。

フェーズ3 まとめ

 そして最後にまとめ。できたかどうかを確認して次の学習に繋げるのと、長期記憶に定着するように促すことを目的としているね。総括的な評価をして態度のあり方を指導したり、復習の際の指標を与えておくことは必要だけど、それ以上に僕は、まとめのフェーズで意識していることがあるんだ。それは、この授業時間外も関する事柄を学びたいと思えるようにすること。
 関連する興味深い問題を知らせて調べてみたいと思わせたり、誰かに話してみたいと思わせることを言ったり、とにかくこの授業をチャイムが鳴ったらもう二度と思い出さないというようなことには簡単にさせない工夫を施したいね。さらに、次回も楽しみになるような達成感や高揚感を演出できると、なお良いと思う。

​確かに、せいぜい数十分の授業で教えられることは限られているけれど、それ以外の時間にも学びたいって思わせて、熱中する時間を少しでも作れたら、その授業のきっかけで知れたことは格段に増えるよね。

 みんなも今回学んだ授業のやり方を頭に入れて、色々なコミュニケーションに役立ててみてね。みんなが素敵な教師になれることを応援しているよ。


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