青の墓参りと絵画

クリハロ句集(一)



花を巻く列車蹴散らし淡く青

桜散り屍体を埋めていざさらば

草上でアスパラガスのおまけ付き

入学の前夜を明かすルッキズム

デッサンの狂った春を踏み荒らす

拳骨を隠して笑う入園児

夏近し駆ける吸い込む待つ棚田

空蝉や思う存分目指せ空

水無月に溶けたガム喰う影の鳥

掩耳の子赤青緑日焼肌

紅顔が煩ふ十のさくらんぼ

六つ目の完全数を喰う浜辺

飲みかけのサイダー音のしない夜

たよりなく葉月の母をたずねけり

ルノワール描くぶらんこがある広場

蜾蠃追息を止め「やあ、久しぶり」

水澄むや太古の岩へ踏み出さん

天の川時の流れに濁りけり

陽は高く凪の波止場に鰯雲

林檎が多いセザンヌも持て余す

地に濡れた紅く成りきれない椛

星月夜刳り貫く型はおさげ髪

霜月を待ちタワレコにいる童

水色が跳ねては割れる初氷

北風と抜けるつもりがメンチカツ

暗雲を濯ぐ廊下に師走あり

冬眠の隣にクイズラリーあり

深雪を蹂んだらあそこまで行ける

げに寒し火は玉響の夢ぞかし

吸入器まだ足りないと泣く女

土瀝青混じれどぼくの雪だるま

晩冬を急かす猫舌鍋奉行

ニンゲンをはじめるための三が日

プリントが積まれた青の墓参り


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